1:面倒な税務調査に、万全の対策を
相続することになったら、まずは遺産額を調べて申告が必要かどうか見極めます。
その結果、必要なら相続税の申告書を提出しますが、提出を終えたからといって、ホッとするわけにはいきません。
税務調査が入ることがあるからです。
どんな場合に調査が入るのか、どんな手順で行われるのか、知っておきましょう。
申告と納税期限は、10ヵ月
相続税の申告と納税には期限があります。
相続の発生(被相続人が亡くなったことを知った日の翌日)から10ヵ月以内です。
相続の発生後、3〜4ヵ月ほど経過した頃に「相続税の申告のご案内(申告書が同封)」や「相続についてのお尋ね(申告の簡易判定シートが同封)」といった書類が送られてくることがありますが、これらは一定の情報をもとに送付されてくるものですから、あわてる必要はありません。
しかし、必要なのに申告をしないまま期限を過ぎると、加算税や延滞税がかかってしまうので注意が必要です。
無申告の場合、本税のほかに加算税や延滞税まで!
中には相続税がかかる遺産があるにもかかわらず、申告書が届かないなどの理由で申告をされない方もおられます(無申告)。すると、申告期限の経過後、税務署に呼び出されたり、税務署の職員が自宅に訪ねてきて実地調査が行われる場合があり、結果によっては本税のほかに加算税や延滞税がかかることになりかねません。
人が亡くなった事実は、死亡届出書によってその市町村を管轄する税務署長に通知されます。税務署は「国税総合管理システム(KSKシステム)」を使って、亡くなった方の財産情報をある程度把握することができるため、隠し通すことは難しいのです。
ちなみに実際の相続税の申告状況ですが、平成27年の統計では、被相続人(亡くなった方)の数の8%が申告をされています。
相続税の申告が必要かどうか見極める方法については、国税庁がシミュレーション用のシートを公開していますので、下記をご覧ください。
https://www.nta.go.jp/souzoku-tokushu/souzok-kanihanteih27.pdf
税務調査が入りやすい条件
相続税の税務調査の主な目的は、申告漏れ財産や隠ぺい財産がないかどうか把握することです。
実際に税務調査の対象となるのは申告書を出した方の約30%程度で、近年は特に「富裕層」「海外に資産を有する人」「無申告の人」に調査が入ることが多くなっています。
税務調査が入った後、修正申告または更正決定*となるのは約80%と、かなり高くなっています。
- *「更正決定」とは
申告した金額が税務署の調査と異なる場合に行われる行政処分。減額更正および増額更正、無申告の場合の税額決定等がある。
参考までに、具体的に調査が入りやすい相続案件を挙げておきます。
- 1)毎年の所得(年収など)、あるいは財産債務調書などと比較して、相続税の申告財産が少ないと思われるもの。
- 2)相続が発生する前に売却された不動産や株式などの売買代金、あるいは退職金などの臨時収入が、相続税の申告財産に含まれていないと思われるもの。
- 3)銀行への照会回答から、多額の預金引き出しがあったのに相続税の申告財産に含まれていないと思われるもの。
- 4)遺産額が高額なもの。(例えば金融資産1億円を有している場合など。)
税務調査の手順
税務調査は、一般的には次のような手順で行われます(任意調査)。
1. 調査の時期
相続税の税務調査は、基本的に毎年7月〜12月に行われます。申告書を提出した翌年に税務調査をしたい旨の連絡が来る場合もあります。
2. 事前の連絡
税務調査が行われる場合は、一般的に事前に連絡があります。
その際、次のことを確認しましょう。
- ・調査の日時(調査官の指定日で都合が悪ければ変更可能です。)
- ・調査の場所(被相続人の自宅や会社など。)
- ・調査人数と名前(通常、調査官2人です。名前も確認しておきましょう。)
3. 調査の手順
- ・午前中(10時〜12時):主に相続人からの聞き取りを行います。
- ・午後(13時〜17時):主に預金通帳、定期預金や権利書などの証書の現物を確認します。
4. 注意点
■貸金庫があれば、当日、同行する場合があります。- ・被相続人が貸金庫の契約者だった場合、配偶者など代理人届を提出している相続人が同行の上、開扉が求められます。
- ・相続人が貸金庫を契約している場合、同行の上、開扉を求められます。また、利用履歴について聞かれることがあります。
- ■申告書に記載した預金類は、過去3年程度の取引について、あらかじめ情報を把握されていると思った方がよいでしょう。
- ■被相続人と同居されていた方については、全員の預金通帳や保険証券などを確認されると思った方がよいでしょう。事前に自宅周辺など複数の銀行や証券会社に預貯金等照会書や有価証券照会書が出され、内容を把握されている場合もあります。
申告書作成を徹底サポート
当社では、面倒な税務調査が極力入らないよう、これまでの豊富な経験と知識を活かし、申告書作成の段階から綿密なサポートを行います。
例えば、個々の事情や状況に関する詳細な説明文を作成して申告書と一緒に提出するなど、税理士の資質によるところの大きい作業です。
税務調査の立ち合いを事前からサポート
仮に税務調査が行われることになった場合も、税務署から指摘されそうなポイントや、相続人の方が取るべき対応等について、事前から共に対策し、当日の立ち合いもいたします。