事例集:相続が発生したとき

事例2:相続の先送りで、
母親の生活を守る

Aさん(51歳/男性)からの相談

長男Aさん

78歳の父が他界しました。残った財産は自宅と賃貸のアパートが一棟。
母(75歳)、私、弟(47歳)の三人で相続します。
弟は南米で20年近く暮らした後、数年前に帰国し、マンションを購入して妻子と生活しています。兄弟とはいえ交流はほとんどなく、その間、私と家族がずっと母と同居してきました。海外暮らしの長かった弟は、私とは権利意識も違います。
相続は、母の今後の生活も考えて行いたいと思っています。

Aさん、Bさんの両方からお話を伺いました。

長男Aさん

お母さんは今後も僕の家族と一緒に自宅に住み続けるよ。今は健康的にも問題ないが、今後何があるかわからないから、賃貸アパートをお母さんの収入源にしておきたいと思う。だから、君には遠慮してもらえると助かるな。

次男Bさん

僕にだって相続人としての権利があるはずだよね? お母さんと兄さんがこの家(自宅)に住むのなら、僕は賃貸物件の方をもらいたいな。

遺産分割の方法・例

その1相続税をできるだけ安く抑えるなら

単に相続税を1円でも安く抑えたいのであれば、お母様もしくはAさんが自宅と賃貸物件を相続することで叶います。(配偶者の税額軽減や、小規模宅地の特例*の適用。)ただし、Bさんの取得分をどうするか決めなければなりません。

その2お母様、Aさん、Bさんの取得分を法定相続分通りに分けるなら

次の2つの方法が考えられます。
■土地家屋を売却してお金を分ける。
■売却はせず、3人の共同名義で相続する。

しかし、いずれの場合もBさんは小規模宅地の特例*を受けられません。また、3人とも不動産所得が発生することになり、毎年確定申告が必要になるものと思われます。
さらに、将来的に例えばBさんが亡くなり相続が発生した場合、Bさんの妻と子どもが土地家屋や賃貸物件の名義を引き継ぎますが、次のような困ったことが起こる可能性が出てきます。

  • ・修理等の際は、相続人全員で協議し、合意が得られなければならない。
  • ・売却する場合も相続人全員の合意が必要。(その際、Bさんの妻と子どもが他界していると、さらに手続きが複雑に。)
  • ・売却した場合、Bさんの妻と子どもは所得税等を負担する可能性も。(居住用財産譲渡の特別控除の特例(最高3千万円)は適用できない。)さらに、所得の発生に伴い、その年の扶養控除等が受けられない可能性がある。

  • *「小規模宅地の特例」とは
    亡くなった方と生計を一にしていた家族の居住用や事業用の宅地について、一定の要件を満たしていれば、その宅地の評価額を最大80%減額してもらえる規定。

私どもの提案

相続人の皆様にお集まりいただき、私どもが間に入ってそれぞれの状況、ご希望等を十分に話し合っていただきました。
ご提案にあたり、私どもが特に考慮したのは以下の点でした。

  • お母様が不安なく生活を続けられるよう、最大限に配慮する。
  • AさんとBさんの間に不平等感からくる不和が生じないよう十分配慮する。

結果的に、弁護士等を入れることなく、私どものご提案により次のような遺産分割協議が成立しました。

自宅および賃貸物件とも、母が相続する。
・Aさんと家族は、母と同居を続ける。
・母の生活について必要なことは、経済的にも人間関係的にもAさんとその家族が担い、Bさんは何ら負担しない。

つまり、一旦、お母様がすべてを相続することで、お子様への相続は先送りされた形となります。
これにより相続が非常にシンプルになり、かつ、将来起こったかもしれない家族間のトラブル等を未然に防ぐことができました。

その後、お母様が亡くなった際に再度ご相談を受け、Aさんが自宅を、Bさんが賃貸物件を、それぞれ単独で相続されました。

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